香川県

■概要

香川県では、請求事務等支援事業として「訪問看護ネットワークシステム」を構築し、グループウエア機能を活用して、「マニュアル類の共同作成支援」「看護記録様式の共同利用支援」も同時に実施した。

■背景と課題

香川県では、訪問看護ステーションでは人材確保の問題や、利用者の動向が不安定な面があり、効率的に業務を進めていく必要があった。そこで、平成21年度の訪問看護支援事業の募集を受け、請求事務等支援事業を中心とした「訪問看護業務支援システム」を構築していくこととなった。

■事業の概要

・請求事務等支援事業

広域対応訪問看護ネットワークセンターを、社団法人香川県看護協会内に設置した。センターを拠点に事業参加ステーションが、Web上の共通の「訪問看護ネットワークシステム」を利用することで、業務の集約化・効率化を図った。
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・その他(マニュアル類の共同作成支援、その他) 

○マニュアル類の共同作成支援
グループウェアの中で意見を募りながら取りまとめることで、タイムリーな情報の更新や、手法の標準化に寄与した。

○その他
標準看護計画については、協議会とは別に検討委員会を組織して、内容を検討し、様式を作成した。
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・訪問看護推進協議会メンバーの構成

訪問看護推進協議会のメンバー構成は以下の通りである。自治体関係者や看護協会、医師会関係者の他、歯科医師会、薬剤師会、居宅介護支援専門員協議会、医療機関の看護代表等のメンバーも参画している。

■訪問看護推進協議会メンバー

1 自治体関係者 2人
2 都道府県等看護協会代表者 1人
3 都道府県等医師会代表者 1人
4 訪問看護事業所管理者 1人
5 学識経験者 1人
6 その他(歯科医師会、薬剤師会、居宅介護支援専門員協議会、医療機関看護代表) 4人

■事業実施に当たって

●うまくいった点

○現場の意見を十分に反映させる事業にできたこと。

○香川県支援事業担当者、県看護協会、システム開発会社が上手く連携し合えたこと。

 

■事業の効果

本事業では、ステーション間をネットワークでつなぎ、記録等のIT化を図ることで、請求業務の一元化だけではなく、訪問看護周辺の事務処理業務の時間的改善及び情報交換・情報提供が双方向に機能し、業務の充実や発展につなげることができた。中でも、訪問看護周辺の事務的業務に要する時間の短縮は大きな効果であった。

また、看護記録様式、計画、マニュアル等を整備していく中で、ステーションのお互いの情報交換が活発になってきている。ネットワークを通じて議論することで、マニュアルや記録等の中身も標準化されてきている。訪問看護に対する自信にもつながっているといえる。これまでは、訪問看護ステーションによっては、記録の方法(手書きの場合もあり)や記録の質、看護診断等のレベルにかなり差が見られていたが、このシステムが入ることで、レベルの底上げができるようになった。

小規模の事業所にとっては、他の事業所の業務のやり方などを知ることはほとんどなかったため、今回、グループウェアに参加することで、他の事業所の状況も把握でき、色々質問ができるようになった。ネットワークができてステーションに情報が入ってくることもかなり大きなメリットとなった。

管理者が医療機関等との退院調整、在宅支援に積極的に関与できる時間が取れるようになり、今後は、訪問看護の利用者数や回数の増加に寄与することが出来ると考えられる。

■終了後の取り組み

平成23年度から、「広域対応訪問看護ネットワークセンター」は、参加ステーションからの利用料収入にて香川県看護協会が自主運営している。現在、支援事業参加ステーションは12ステーションである。

■相談の種類、相談者の概要等

 ネットワークの活動内容
 ・参加ステーション等システムに対する要望を取りまとめ、システム会社と協力しながらシステムのアップグレード
 ・参加ステーションへのシステム操作や運用に対する支援
 ・参加ステーションの実務等に関する相談(特に新設ステーション)
 ・標準看護計画マスタの見直し、更新

■地図