医療材料等供給支援事業-都道府県別一覧

■三重県-医療材料等供給支援事業

 当事業は、員弁・桑名地区(8事業所)、及び鈴鹿・亀山地区(5事業所)で行われた。各々の地区に、それぞれ基幹センターを設置した(員弁・桑名地区ではセンター薬局、鈴鹿・亀山地区では薬剤師会に設置)。

 具体的な手順は次のとおりである。まず、訪問看護ステーションと連携している医療機関から、基幹センターに医療材料等の発注が行われる。基幹センターでは必要な物品を医薬品メーカー等に発注し、調達した材料を利用者の注文に応じて個別に分類し、当該利用者のいる訪問看護ステーションに配達を行う。ステーションでは医療機関に医療材料を取りにいく必要はない。医療材料等を受領した訪問看護ステーションでは、訪問時に利用者のもとへそれを届けるというシステムである。利用者は医療材料等にかかる費用を銀行口座からの引き落としで支払うことができる。

 このシステムを構築するには、医師会や薬剤師会等の調整を綿密に行うことが非常に重要であり、医師が使用する医療材料は多種多様のため供給可能な医療材料のカタログを作成するのにも時間を要した。事業への参加主体を増やすため、特に医師に関心を持ってもらうために診療所で在庫を持つリスクが減ること、一般の薬局が取り扱っていない医療材料も入手しやすいことをアピールした。このように、関与するステークホルダー間でメリット・デメリットを整理して、実際の運用開始に結びつけている。

 医療材料等供給支援事業の全体概要イメージは以下のとおりである。

■滋賀県-医療材料等供給支援事業

県内の3圏域(第2圏域、第5圏域、第6圏域)で衛生材料等共同購入検討部会を構成し、さらに圏域ごとに検討部会を設置した。

第2圏域には12ヶ所の事業所があり、現在は5ヶ所が参加している。月に1回程度の頻度で薬剤師をメンバーに加えて圏域の検討部会を開催している。 衛生材料については、日頃主として使用しているものをリストアップして薬剤師会に渡し、検討してもらった。薬局としては1ヶ月間に使用する量を把握したいとのことであった(利用量によって値段が変わるため)。薬剤師会に購入リストを提出し、事業所もしくは利用者宅に配送してもらっている。利用者の増加には至っていないが、利用者からの注文はメール受付も実施したため配達はスムーズであった。

第5圏域には5ヶ所(サテライト含むと6ヶ所)の事業所がある。この地域では、従来関わりのある薬局のケアマネジャーの資格を有する薬剤師と以前より共同で取り組んでおり、訪問看護支援事業前からの連携の基盤があった。訪問薬局が料金を徴収して薬剤師が薬剤の管理を引き受け、訪問看護師と連携・分業することで専門に専念でき、よいケアにつながっている。退院調整の時点から薬剤師に入ってもらうことで、薬剤師にとっても居宅管理指導、訪問服薬管理指導が算定できることとなる。 

第6圏域には8ヶ所の事業所がある。病院併設がほとんどであり、その場合は病院で衛生材料が支給されているが、口腔ケア用品、胃ろうのボタン、ドレッシング材、消毒薬などは薬局で取り扱ってほしいという要望があったため、薬剤師会と話し合いを行った。事業開始に当たり、圏域内の薬局48箇所にアンケートを実施し、訪問看護ステーションへの要望等について意見を収集した(40箇所が回答)。薬局は在宅療養者の状態や家族介護の現状を十分に知らないことが分かり、地域の薬剤師を対象に訪問看護師による勉強会を開催した(参加した薬剤師約20名)。

薬剤師会からは、在宅分野への展開に向け訪問看護ステーションとの連携は不可欠であるため、本事業についても積極的な協力が得られている。