■概要
鹿児島県では、コールセンター支援事業、医療材料等供給支援事業を実施するとともに、その他の事業として、「マニュアル類の共同作成支援」「パンフレット等の作成・PR支援」を実施した。
■背景と課題
鹿児島県では、訪問看護ステーション数が減少し、高齢者人口10万人あたりの設置数が全国平均よりも低い。小規模な事業者が全体の75%を占めており、利用者数も30人未満の事業者が約半数である。そのため、訪問看護事業所の連携や業務の共同利用を促進し、在宅医療を担うサービスとして重要な訪問看護サービスの安定的な供給を可能とし、在宅療養環境を充実させるため、平成21年度より訪問看護支援事業に参加し、各種事業を実施することとなった。
■事業の概要
・コールセンター支援事業
コールセンター事業は姶良・伊佐地区および鹿児島地区で実施した。姶良・伊佐地区では、訪問看護相談窓口として専用電話を地区訪問看護支援事業代表ステーションに設置し、問合せがない間は病院やケアマネジャーへのアンケート調査に関する事務作業を行った。鹿児島地区では、「訪問看護相談支援センターかごしま」を設置し、電話やメール、直接面談等でコールセンター業務を行った。
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・その他(パンフレット作成・PR支援・マニュアル等の共同作成支援・その他)
○マニュアル類の共同作成支援・パンフレットの作成
マニュアルの共同作成・パンフレットの作成は鹿児島地区、姶良・伊佐地区、奄美地区、肝付地区それぞれで実施した。鹿児島地区では、マニュアル、訪問看護についてのガイドブック、訪問看護パンフレットを作成した。姶良・伊佐地区、奄美大島地区では利用者宅向けに「災害対応マニュアル」を作成した。奄美大島地区では、「災害時マニュアル」を作成、見直しを行った。また、訪問看護ステーションの紹介用パンフレットを作成し、配布した。肝付地区では、軽度の予防的な取り組み含めた事例を収集し、パンフレットを作成した。
○その他
ネットワーク共同強化として、鹿児島地区、姶良・伊佐地区、奄美地区、肝付地区において、連絡会や共同会議を開催、「訪問看護相談支援センターかごしま」のホームページを設置した。ネットワークシステム導入支援として、鹿児島、姶良・伊佐、奄美、肝付において、地域の各ステーション間で情報を共有できるようなネットワークシステムを構築した。
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・訪問看護推進協議会メンバーの構成
訪問看護推進協議会のメンバー構成は以下の通りである。
■訪問看護推進協議会メンバー
1 自治体関係者 | 1人 |
2 都道府県等看護協会代表者 | 1人 |
3 在宅療養支援診療所医師等 | 3人 |
4 訪問看護事業所管理者 | 6人 |
5 学識経験者 | 1人 |
■事業の効果
本事業で相談センターのホームページを開設したことで、一般の方やマスコミ関係者などからも訪問看護に関心を向けられるようになり、全般的に訪問看護の認知度が高まってきたと思われる。また、相談窓口を通じてのつながりは、以後、ステーションへ直接依頼が入る関係となった。
特に、離島、肝付地区、郡部などにおいては、今まで連携をとる、情報を交換し合うということはほとんど無かったが、地区の情報が得られ、お互いに顔を知り、相談できるようになり、一事業所で対応できない利用者は複数の事業所で協力して対応していく等ができるようになってきた。より訪問看護が地域で活動しやすくなる基盤ができてきたといえる。病院、施設や保健所、ケアマネジャー、民生委員の会など直接、足を運び訪問看護を周知することも行ってきた。
また、経営面でも新規利用者増などにつながっている。鹿児島地区では、約半数の事業所が新規利用者5%増を達成した。姶良・伊佐地区では33%増、奄美大島地区では38%増という成果が得られており、かなり効果が見られている(肝付地区は未集計)。
■地図