■概要
滋賀県では、コールセンター支援事業、医療材料等供給支援事業を実施するとともに、その他の事業として、「マニュアル類の共同作成支援」「パンフレット等の作成・PR支援」を実施した。
■背景と課題
滋賀県では、訪問看護職員が5人未満のステーションは6割に上り、夜間対応だけではなく昼間の対応も看護師不足という状況であり、訪問看護業務の効率化が求められていた。共同で実施できる業務については、事業所間で協働することで、各ステーションの負担を軽減し小規模事業所が効率的な運営を行うことが求められていた。このような背景を踏まえ、平成21年度より訪問看護支援事業に参加し、各種事業を実施することとなった。
■事業の概要
・医療材料等供給支援事業
県内の3圏域で衛生材料等共同購入検討部会を構成し、さらに圏域ごとに検討部会を設置した。
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・コールセンター支援事業
訪問看護を利用する患者やその家族、及び利用調整を行うケアマネジャーや医療関係者等からの訪問看護利用等に関する相談窓口を設置した。チラシと名刺サイズの案内を配布し周知した。
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・その他(マニュアル類の共同作成支援、パンフレット作成・PR支援)
○マニュアル類の共同作成支援
20回程度の会合を開き、マニュアルを作成し、ファイリングして県内の訪問看護ステーションに配布した。また、インシデント・アクシデントの考え方を整理した報告書を成果物として作成した。
○パンフレット作成・PR支援
県民に対する訪問看護のPRに重点を置き、PRパンフレットを作成した。訪問看護ステーションで利用したり、地域の介護教室等で配布している。「滋賀の訪問看護ステーション」というホームページを業者に委託し作成した。
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・訪問看護推進協議会メンバーの構成
訪問看護推進協議会のメンバー構成は以下の通りである。自治体、看護協会、医師会関係者に加え、歯科医師会、薬剤師会、病院協会、介護支援専門員協議会、難病連絡協議会、女性団体連合会、介護サービス事業所協会等からも参画した。
■訪問看護推進協議会メンバー
1 自治体関係者 | 8人 |
2 都道府県等看護協会代表者 | 1人 |
3 都道府県等医師会代表者 | 1人 |
4 訪問看護事業所管理者 | 1人 |
5 学識経験者 | 3人 |
6 訪問看護事業所管理者 | 5人 |
7 その他(歯科医師会、薬剤師会、病院協会、介護支援専門員協議会、難病連絡協議会、女性団体連合会、介護サービス事業所協議会 等) | 7人 |
■事業の効果
コールセンター(相談窓口)ではケアマネジャーからの問い合わせも多く、訪問看護について周知するよい機会となっている。 また、制度や報酬の請求手続きの詳細について管理者の理解が深まり、新規事業所が地域のネットワークに加わるきっかけとなっている。
医療材料等供給支援事業については、薬局が衛生材料を利用者宅へ直送することにより薬局側が在宅療養者の状態や介護をしている家族の様子を知るきっかけとなった。本事業を通じて薬局同士の連携も深まっている。また、従来から実施していた地域においても、薬剤師と訪問看護師が連携し分業することで互いの専門性を活かしながら、効率的な材料の供給と利用者へのケアにつながっている。さらに、QOLの向上がみられた事例(本事業で薬剤師との連携により排便コントロールが可能になった脊髄損傷患者の例など)については学会発表するなど、事業の実施にとどまらない広がりのある取り組みが展開されていた。
マニュアルについては、各種マニュアルの作成を通じて、管理者自身が学びながら標準的な対策を再認識することができ、滋賀県全体の訪問看護ステーションの標準化につながると考えられる。
■地図